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電子帳簿保存法~R6年1月からほとんどの事業者は対応が必要です

2023年07月25日(火)2:34 PM

1.概要

 個人事業者や法人は、帳簿(※1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その「帳簿」と、取引等に関して作成又は受領した「書類」(※2)を一定の期間保存することが必要とされています。
 電子帳簿保存法は、一定の要件の下で、これらを紙による保存によらず、電子データにより保存することができることとするものです。
  ※1 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳等
  ※2 契約書、領収書等

 電子帳簿保存法は、その主な保存区分が次の3種類に分けられます。
  ①電子帳簿等保存
  ②スキャナ保存
  ③電子取引データ保存

 このうち③の電子取引データ保存に関して、請求書・領収書等などに関する電子データを送付・受領した場合には、令和5年12月末までは従来どおりプリントアウトして保存しておくことが認められていました。
 しかし、令和6年1月からはその電子データを一定の要件を満たした形で保存することが求められます。
 これは、申告所得税・法人税に関して帳簿書類の保存義務がある全ての方にご対応いただく必要があります


2、対応すべきデータ

 前述の通り、電子帳簿保存法の主な保存区分は3種類に分けられます。
 下記のうち①と②については、保存義務のある者の選択により紙で保存するかデータで保存するかを決められるため、いままで通りでも構いません。
 ③の電子取引データの保存についてのみ、令和6年1月から全ての保存義務者において対応が必要とされています。

①電子帳簿等保存:「データで自ら作成した帳簿・書類をデータのまま保存」することです。
 【具体例】自分が会計ソフト等で作成した帳簿や決算関係書類などを電子データのままで保存する

②スキャナ保存:「紙で受領・作成した書類を画像データで保存」することです。
 【具体例】相手から受け取った請求書や領収書などの紙の書類を、自らスキャンして保存する

③電子取引データ保存:「電子データでした取引情報をデータで保存」することです。
 【具体例】オンライン購⼊に関する領収書に相当する情報が紙で受け取れずサイト上でのみ表示される場合や、電子メールの本⽂・添付ファイルで請求書、領収書、契約書、⾒積書など、『紙でやりとりしていた場合にはその紙を保存しなければならない内容』を電子データでやりとりした場合(「電子取引」に該当)、それをデータ(PDF やスクリーンショットも可)で保存する
  ※受け取った場合だけでなく、送った場合についても保存が必要です。


3、保存方法の要件とその対応

<電子データ保存の要件>

 (1)検索機能を確保する
 (2)改ざん防止のための措置をとる
 (3)パソコンやディスプレイ、プリンター等の備え付け
 (4)システム概要を記載した書類を備え付ける
   →自社開発のプログラムを使用する場合のみなので市販のソフトを利用する場合は考慮不要

(1)検索機能の確保

 検索機能の確保については、「⽇付・⾦額・取引先」で検索できるようにする必要があります。専用システムを導入していなくても、以下の①②のいずれかの方法により確保していることになります。

 ただし、次の2つの要件すべてを満たす対象者は、検索機能要件が不要となります
  ●基準期間(原則2年前)の売上高が5,000万円以下
  ●税務調査の際等にダウンロードの求めに応じて、電子保存データを書面に出力し、取引年月日、取引先などで整理された状態で提示することができる

①索引簿を作成する方法

日付・取引先・金額と書類ごとの番号を設定し、その番号と電子データを結びつける索引簿をExcel等で作成しておくことで、表計算ソフト等の機能を使って検索する方法です。

②規則的なファイル名を設定する方法

データのファイル名に規則性をもって「日付・⾦額・取引先」を付与し、特定のフォルダに集約しておくことで、フォルダの検索機能が活⽤できるようにする方法です。
(例)2024 年1 月 31日 ㈱霞商店からの 110,000 円の請求書なら、PDFのタイトルを「20210131_ ㈱霞商店_110000」

(2)改ざん防止措置

 「タイムスタンプ付与や、履歴が残るシステムでの授受・保存のためのシステムを導入する方法」もありますが、コストがかかるため、中小企業で書類を扱う担当者が決まっていて運用方法が徹底できる場合は「改ざん防⽌のための事務処理規程を定めて守る」で構いません。
 事務処理規程(電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程)のひな型については、国税庁のホームページ()からサンプルをダウンロードすることができます。これを参考に自社にあわせて規程を整備し、運用する方法が良いかと思います。



 近年はオンライン取引も増え、ショッピングサイトでは紙の領収書が発行されなくなる動きが見られます。
 令和6年1月からは、上記3(1)の検索機能要件が不要となる方は(2)を、そうでない方は(1)と(2)の対応ができるようご準備願います。



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