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H29年分からは「医療費のお知らせ」は捨てないで下さい

2017年11月29日(水)4:02 PM


 平成29年も残すところあと1か月余りとなりました。
 会社員の方は年末調整のため、平成30年分の扶養控除等申告書も含めて記載して、資料を会社に提出される時期だと思います。
 また、年末から3月にかけて、確定申告での医療費控除のための準備をされる方もいらっしゃるかと思います。
 これらについての今年度の留意点は以下の通りです。


1.平成30年分の扶養控除等申告書について

 平成30年分の扶養控除等申告書から配偶者についての記載が大きく変わっており、主に次の2パターンの場合は昨年までと取扱いが異なますので、ご注意ください。

①申告書を提出する方の合計所得金額が900万円(給与所得だけの場合収入1120万円)を超える場合
  ・・・平成29年分以前は、配偶者を「控除対象配偶者」欄に記入できていましたが、平成30年分以降は「源泉控除対象配偶者」欄に記入できなくなります。

②申告書提出者の所得が900万円以下で、配偶者の合計所得が38万円(給与所得だけの場合収入103万円)を超えているが所得85万円(同収入150万円)を超えていない場合
  ・・・平成30年分以降は「源泉控除対象配偶者」欄に記入できるようになります。


2.平成29年分の確定申告の医療費控除について

 平成29年分以後の所得税の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合は、領収書の提出の代わりに、次のいずれかを確定申告書に添付することが必要になりました。

 (1)領収書などに基づき作成した、①医療費の額②診療等を受けた者の氏名③診療等を行った病院等の名称 の記載がある明細書
 (2)医療保険者(全国健康保険協会、健康保険組合、国民健康保険組合、後期高齢者医療広域連合など)から交付を受けた医療費通知書(医療費の額を通知する書類で、「医療のお知らせ」などが該当)
 ※書面のよる提出の場合は医療費通知書の原本

 原則として医療費の領収書は確定申告期限から5年間保存する必要があり、税務署から求められたときは提示または提出しなければなりませんが、次の場合の領収書は保管が不要です。

 ①医療費通知書(いわゆる「医療費のお知らせ」)を添付した場合(上記(2))における、その医療費通知書に係る医療費の領収書
 ②電子申告(e-Tax)で確定申告を行った際に、医療保険者から通知を受けた医療費通知情報で、その医療保険者の電子署名及びその電子署名に係る電子証明書が付されたものを医療費の明細書として送信した場合における当該医療費通知情報に係る医療費の領収書

 なお経過措置として、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付または提示によることもできます。


【注意点】

(1)医療費控除に使用する金額は、医療費の総額ではなく、自己負担額(実際の本人の支払額)の部分です。

(2)医療費通知書は、各医療保険者によって送付時期や記載されている内容の受診月が異なります。年の終わりごろの診療の分などは事務処理の都合上、記載されておらず、次の年度分への記載となることがあります。
また、特定の診療科を有する医療機関で受診した場合や、医療機関等からの請求が遅れている場合等については、記載されていない場合があります。
医療費通知に記載されている医療費の額に反映されていないものについては、申告者自身が、領収書に基づき実際に負担した額を追加して(明細書を作成・添付して)申告してすることになります。
その場合、当該領収書については、申告者が確定申告期限等から5年間保存する必要があります。

(3)上記の通常の医療費控除のほかに、医療費控除の特例として、「セルフメディケーション税制」(参照)がありますが、従来の医療費控除との選択適用となりますので、いずれか一方を選択して適用を受けることになります。また、どちらかの税制の適用を受けることを選択して確定申告書を提出した場合には、その後納税者が更正の請求又は修正申告によって、当初の確定申告で適用した税制とは異なる税制へ適用を変更することはできませんのでご注意ください。



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