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消費税率の引き上げ~8%から10%へ~ その1

2019年07月16日(火)4:21 午後

 消費税の税率が、2019年10月1日に現在の8%から10%に引き上げられます。
 同時に、消費税率引き上げに伴う低所得者へ配慮の観点から、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に、軽減税率制度(税率8%)が実施されます。
 また9月30日までの取引については消費税率8%ですが、一定の条件を満たした取引については、10月1日以降に続く取引でも10%ではなく8%となる場合がある「経過措置」という取り決めもあります。
 いよいよあと3か月を切りましたので、消費税率引き上げへの具体的対応と、どのような取引が軽減税率の対象となるのかを把握しておく必要があります。


 会社の売上に関して、消費税の軽減税率が関係してくるのは、飲食料品の譲渡を行う事業(飲食店、食料品の卸売り)や新聞店などです。
 また、経過措置に関係してくる中ではたとえば不動産賃貸業(居住用のものを除く)です。


1.売上に関する対応

(1)不動賃貸業


 収入する家賃(居住用を除く)は原則として「〇月分」のものかで判断し、9月分までは8%、10月分からは10%となります。
 例外として経過措置の適用があるのは、2019年3月31日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、2019年10月1日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、当該契約の内容が次に掲げる要件に該当するときです。
  ① 当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
  ② 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。

 たとえば、 「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めがあった場合は、その定めは要件②の「~当該対価の額の変更を求めることができる旨の定め」に該当しないものとして取り扱われます。
 よって資産の貸付けに係る契約において「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めがあったとしても、当該契約の内容が他の要件を満たす場合には経過措置が適用されます。
 ただし、その旨の定めに基づき実際に賃貸料を変更した場合には、変更後の資産の貸付けについては経過措置の対象となりません。

 また貸付期間について、自動継続条項が定められおり、いずれか一方からの解約の申出がない限り、当初条件で自動的に継続されるという賃貸借契約のものは多いと思います。
 この場合には、たとえば当初契約期間が2年間であれば、その2年間のみが経過措置の対象となり、2019年10月1日以後の賃貸は税率8%となります。
 ただし当初契約期間の2年を経過した後の部分は10%となるため、注意が必要です。

 賃貸借契約が2019年3月31日までに締結されているか、その契約書の内容が経過措置の要件を満たしているかなど、ご確認いただければと思います。

(2)飲食店

 飲料食品の販売については、言ってしまえば、商品をどのような価格設定とするかはその会社の任意です。
 よって、本体価格に税率ごとの税額を乗せるように変更するか、適用する税率にかかわらず税込価格を一律にするか、方法はさまざまです。
 なお、店内の飲食とテイクアウトの両方の飲食料品の提供があり税率が混合する場合で、メニュー表が必要な業種は、2021年3月末まではメニューごとの税額表示を省略し、税抜価格で表示したうえで「店内飲食とテイクアウト(出前)では税率が異なりますので消費税額が異なります」と表示するという方法が認められます。

 また、複数税率対応のためのレジの導入やシステムの改修が必要になります。
 このとき、新たなレジ導入は資産の取得になりますが、システム改修の場合、そのプログラムの修正が消費税法改正による軽減税率制度の実施に対してなされているものに限定されていることが作業指図書等で明確にされている場合は、修繕費に該当します。


(3)飲食料品の譲渡を行わない事業者

 売上に関しては軽減税率がないため一律税率10%となります。

(4)共通

 その他の売上に関する留意事項としては、請求書に、軽減税率対象品目の売上について現状に加え「軽減税率対象品目にはその旨」「税率ごとに合計した税込金額」を表示する必要があります。
 また、売上を税率ごとに分けて帳簿に記帳しなければなりません。


2.仕入に関する対応

(1)共通

 軽減税率対象品目の仕入れについて、請求書等に「軽減税率対象品目にはその旨」「税率ごとに合計した税込金額」の記載がないときは、仕入先に確認する等してその事実を追記することも認められます。
 また、仕入を税率ごとに分けて帳簿に記帳しなければなりません。

(2)飲食料品の譲渡を行わない事業者

 飲食料品の譲渡を行わない(=売上は一律税率10%)事業者でも、仕入(経費)に関しては、次のような勘定科目には軽減税率が適用される課税仕入れがある場合があるため、注意が必要です。

 ・新聞図書費・・・定期購読契約の新聞代
 ・会議費・・・・・会議用のお弁当、飲料代 

 ・接待交際費・・・お中元やお歳暮などの贈答用や、手土産用などの飲食料品代
 ・福利厚生費・・・社内で飲むためのコーヒー豆やウォーターサーバー用の水代


 仕入や経費の支払に関してはどの業種でも軽減税率が関わってくる可能性があるため、10月以降は受け取った領収書や請求書の税率の部分を確認するようにしてください。

 軽減税率の対象となるかどうかの取引例については、次回お伝えします。



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