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消費税の簡易課税制度が改正されます

2014年06月17日(火)10:39 AM

平成26年度の税制改正により、消費税に係る簡易課税制度が改正されます。


簡易課税制度とは、消費税の計算において、仕入に係る消費税額を簡易的に計算する方法として、一定の中小企業者に設けられている特例で、売上に係る消費税額から、事業区分ごとに「みなし仕入率」という率で算定した税額を仕入に係る消費税額とみなして、税額を計算する方法です。

消費税の納付税額は、通常は次のように計算します。(地方消費税を除く)

  課税売上高(税抜)×消費税率(4/100or6.3/100)-課税仕入高(税込)×消費税率(4/105or6.3/108)

しかし、その課税期間の前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前(適用しようとする課税期間の開始の日の前日まで)に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等に基づいた税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができます。

つまり、事業の種類ごとに決められた一定割合(「みなし仕入率」)を課税売上高に対する税額に乗じて、仕入控除税額とすることができるというものです。

簡易課税制度を適用した場合の消費税の納付税額は、原則として次のように計算します。

  課税売上高(税抜)×消費税率(上に同じ)-課税売上高×消費税率×みなし仕入率


例えば、卸売業の場合、売上に係る消費税額の90%を仕入に係る消費税額とみなして計算することができます。
その他のみなし仕入れ率は、小売業の場合80%、製造業・建設業・農業などは70%、飲食業や金融・保険業、その他の事業は60%、サービス業・不動産業などは50%というように規定されていました。

しかし今回の改正により、次のような見直しがされます。

(1) 金融業及び保険業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%(現行60%)とする
(2)不動産業を第6種事業とし、そのみなし仕入率を40%(同50%)とする

自民党税制調査会に報告された最近の実態調査結果によると、課税事業者の業種別課税仕入率では、金融業と保険業の課税仕入率の平均が47.8%と、みなし仕入率60%を12.2ポイント、不動産業は41.8%と、みなし仕入率50%を8.2ポイントとともに下回っていたため、今回の改正に至ったといえます。


この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

簡易課税制度を選択するべきかの有利選択を検討する際は、今まで以上に慎重に判断し、とくに不動産業等の場合は、みなし仕入率を40%で試算することにご注意ください。



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