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印紙税の節税

2016年05月31日(火)11:08 AM

 印紙税とは、日常の経済取引などに関連して作成する契約書や領収書等の「課税文書」に課税される税です。
 印紙税は通常、領収書等に所定の収入印紙を貼り付けて消印することが印紙税の納付にあたります。
 原則として、印紙税を負担するのは、印紙を貼る文書を作成した人や会社になります。

 法人税の節税だけでなく、無駄な印紙を貼らないようにすることも、節税のひとつになります。

 印紙税の「課税文書」とは、印紙税法別表第一の課税物件表に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(「課税事項」)を証明する目的で作成されたもののうち、「非課税文書」に該当しない文書をいいます。
 印紙を貼る必要のある「課税文書」に該当するものは、国税庁の「印紙税額一覧表」に列挙されています。

 一般的に売上代金が5万円以上の領収書は、要件を全て満たすため、課税文書に該当します。
 また、金銭消費貸借契約書や請負契約書も課税文書に該当し、契約金額によって、納める印紙税は決められています。

 一方例えば、クレジットカードによる販売の場合は、クレジット利用票(お客様控)のほかに領収書を作成して交付することがありますが、このケースでは領収書であっても金銭の受領事実がないことから、課税文書には該当せず、この領収書には印紙を貼る必要はありません(クレジットカード利用であることを、作成する領収書に明記する必要があります)。

 近年はペーパーレス化のため、領収書や契約書、注文請書などもPDFファイル等の形式で行うことも増えてきていると思われます。
 領収書等をWEB形式で発行したり、電子メールにより送付するなど電子的手段により行うものは「電子文書」とされます。
 この電子文書は実際に文書が交付されないことになるため、印紙税は不要とされています。
 また、WEBやメールで発行された領収書を、保管のために印刷したものも、あくまで原本は送信した電子データであり、印刷したものはそれをコピーした文書として取り扱われるため、課税文書に該当せず、印紙は不要です(ただし、後日原本を相手に交付した場合は、課税文書に該当します)。

 したがって、従来の紙文書での領収書や契約書等のやり取りを、電子データによる領収書の発行や電子契約に置き換えることで、印紙税の節税ができるようになります。

 ただし、電子データは偽造・改ざんなどが容易であるため、それを防止することが必要です。
 紙文書の場合の署名・捺印に対して、電子データの場合の契約確認ができる仕組みとして、電子署名やタイムスタンプがあります。

 なお、契約書の作成時に印紙を貼らず、印紙税の調査などの直前に収入印紙を貼る、ということを考える方も中にはいらっしゃるかもしれません(注:これは節税ではありません)。
 しかし、収入印紙の図柄は定期的に、微妙に変更されています。
 契約書作成時にまだ発行されていないはずの印紙が契約書に貼られているということは、調査官にはわかってしまいます。
 印紙税を納める時期はあくまで契約書を作成したときですので、作成時に印紙を貼って消印するようにしてください。



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