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「かわいい孫のためなら・・・」教育資金の一括贈与に係る贈与税

2013年05月01日(水)3:48 PM

 今までも、親子間(扶養義務者間)で必要の都度支払われる教育資金は、贈与税が非課税でした。
一方で、教育費とするために多額の資金を一括で孫に贈与することは、贈与税の対象とされてきました。

H25
年税制改正により、平成254月からは、子供の教育資金の早期確保を進め、高齢者世代から子育て世代への支援に寄与するために、多額の教育資金の一括贈与を非課税とする制度(教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置)が設けられています。

 
(1)制度の概要

①子・孫(「受贈者」※1の教育資金に充てるために、祖父母(「贈与者」※2)が子・孫名義で資金を金融機関の口座に拠出した場合には、子・孫1人につき1,500円(※3)までの金額に相当する部分の価額については、平成2541から平成271231までの間に拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする

※1 子・孫は30歳未満の者に限ります。
※2 叔父、叔母、兄弟及び配偶者の父母や祖父母などの直系尊属は含みません。
※3 学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とし、合わせて最高1500万円までとなります。

②受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類(領収書等)を金融機関に提出しなければならない

③受贈者30歳に達した場合には終了する。拠出した額から教育資金として支出した額を控除した残額については、受贈者が30歳に達した日に、贈与があったものとして贈与税を課税する


2)対象となる教育資金

学校等で必要な費用のうち、学校等に対して直接支払われる次のような金銭            ・・・・・・原則:1500万円非課税枠対象

A)入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学試験検定料、修学旅行費用
B)学用品費、修学旅行費、学校給食費など

1】学校等で必要な費用については、「学校等に直接支払う場合」と「業者等に支払う場合」の両方ありますが、「学校等に支払う場合」つまり「学校等に支払ったことが領収書等で確認できる場合」のみが1500万円までの非課税の対象となります。
2】個人が直接「業者等に支払う場合」は、領収書等とともに学校等が認めたものであるとわかる資料がある場合に限り、500万円までの非課税枠(下記②)の対象となります。
3】学校等とは、学校教育法上の幼稚園、小中学校、高等学校、大学、大学院、専修学校のほか、国内あるインターナショナルスクール(国際的な認証機関に認証されたもの)や、外国にある日本人学校をいいます。

学校等以外に対して、直接支払われる次のような金銭(社会通念上相当と認められるものに限る)・・・・・・500万円非課税枠対象

下記(A)~(D)の月謝、入会金などとして支払う費用や施設使用料、および使用する物品の費用。
ただし、指導を行う者を通じて購入するもの(=指導を行う者の名で領収書が出るもの)に限ります。

A)学習(学習塾、家庭教師、そろばんなど)
B)スポーツ(スイミングスクール、野球チームでの指導など)
C)文化芸術活動(ピアノ教室、絵画教室、バレエ教室など)
D)教養向上(習字、茶道など

1個人で購入した場合は対象となりません(例:塾のテキストを一般書店で購入、野球グローブを専門店で購入)
2】上記①の注2と同じ。①の「学校等で必要な費用のうち業者に支払ったもの」は、領収書等とともに学校等が認めたものであるとわかる資料がある場合②に該当します。


「孫のためなら」という多くの祖父母の方のために、各金融機関が、この制度のための様々な専用口座(商品)を設けています。

また、相続税対策にもなる有用な制度だと思います。



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