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H28年4月からの税務の取り扱い変更点

2016年04月18日(月)2:28 PM

 

平成28年度の税制改正により、4月から取り扱いが変更されている主なものについて改めてまとめてみます。


《法人税》

1.減価償却方法の見直し

 H28年4月1日以後に取得する取得する建物付属設備、構築物の減価償却方法について、定率法が廃止され、定額法に一本化されました。

2.生産性向上設備投資促進税制の終了

 生産性向上設備を取得した場合の特別償却または税額控除制度について、平成28年度には内容が縮減され、平成28年度末には廃止されます。
 具体的には、H28年4月以降取得した生産性向上設備(機械装置)は50%(建物・構築物は25%)の特別償却、または4% (建物・構築物は2%)の税額控除に縮小され、H29年3月末までで廃止されます。

3.エネルギー環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)の改正

 エネルギー環境関連投資促進税制については、H28年4月以降、次のようになっています。
  ①中小企業者について風力発電設備については特別償却は30%、税額控除は7%は2年延長
  ②固定価格買取制度の認定を受けた太陽光発電設備(いわゆる売電用)は対象資産から除外され、認定を受けていない自家用設備が追加
  ③税額控除の対象資産から、電気自動車はプラグインハイブリッド自動車を除外

4.少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長等

 中小企業者が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、当該減価償却資産の合計額300万円を限度として、全額損金算入(即時償却)することを認める措置について、マイナンバーや消費税複数税率対応で必要な少額資産の取得等に活用できるとの趣旨により、適用対象から従業員1,000人超の法人を除外したうえで、適用期限が2年延長されています。

5.法人税率引き下げ(中小法人以外)

 法人税率についてH28年3月31日以前は23.9%(資本金1億円以下の中小法人は除く)でしたが、次のように引き下げられています。

 (1)H28年4月1日~H30年3月31日の間に開始する事業年度
    ・・・23.4%(中小法人の年800万円以下の金額については19%、H29年3月31日以前開始事業年度までは特例により15%)
 (2)H30年4月1日以後開始する事業年度
    ・・・23.2% (中小法人の年800万円以下の金額については19%)

 なお、資本金1億円以下の中小法人の年800万円以下の金額については、H28年4月1日~H29年3月31日の間に開始する事業年度までは特例により19%から15%に引き下げられています。

6.繰越欠損金利用制限の見直し

 繰越欠損金について次のように改正されています。

 (1)大法人の繰越欠損金の繰越控除限度割合の段階的な引き下げ(H28年4月1日からは60%、H29年4月1日からは55%)
 (2)欠損金の繰越期間を9年から10年に延長する施行時期は、「H29年4月以後」から「H30年4月以後」開始事業年度発生分へ延期


《消費税》

1.高額資産を取得した場合の特例 

 

 従来までは、課税事業者を選択し2年経過した後に高額資産を取得した場合には、翌期に免税事業者になることや簡易課税制度の適用を受けることが可能でした。
 しかし、 H28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行ったときは、課税事業者(本則)の場合に、 「その仕入等の日の属する課税期間」から「その課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間」まで、免税事業者になることや簡易課税制度の適用を受けることができなくなっています。
 また、自ら建設等する場合も同様に、「建設費用が1,000万円(税抜)以上となった日の属する期間」から、「建設等が完了した期の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間」までが事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用は不可となっています。

 

《所得税》

 

1.空き家に係る譲渡所得の特別控除の創設

 

 H28年4月より、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用、または居住の用に供されていなかった、その家屋及び土地(家屋に耐震性のない場合は耐震リフォーム後のものに限る)または除却後の土地を譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができるようになっています。

 

2..通勤手当の非課税限度額の引き上げ

 

  H28年1月1日以後からですが、通勤手当または通勤用定期乗車券の非課税限度額が、最高月10万円から月15万円に引き上げられています。

 

《その他》

 

1.償却資産税の特例

 

 中小企業が取得する新規の機械装置は、3年間、固定資産税の課税標準を1/2に軽減する措置が講じられています。

 対象となる資産は、中小企業者が新法の認定計画に基づき取得する新規の機械装置(新品) のうち生産性を高める(※)機械装置です。

 ※既存の生産性向上設備投資減税の適用要件のA類型(①160万円以上、②生産性1%向上(10年以内に販売開始)、③最新モデル)から、③最新モデル要件を除外したもの。



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